2026/02/01
Skeletal Class II(骨格性クラスⅡ)とは
Skeletal Class II の基本的な考え方
Skeletal Class II とは、上顎と下顎の前後的位置関係において、下顎が相対的に後方に位置している状態を指します。重要なのは、これは歯の問題ではなく、骨格の前後バランスの話だという点です。
セファログラムで見る Skeletal Class II
頭部X線規格写真(セファログラム)では、次のように評価されます。
- 下顎が後方に位置している
- もしくは、上顎が相対的に前方に位置している
- 結果として、上下顎の前後バランスが崩れている
✔ 顔面骨格の前後バランスが後方寄り
✔ 横顔で下顎が小さく・引っ込んで見える
こうした特徴が見られます。

Skeletal Class II=「出っ歯」ではない
一般的に、Skeletal Class II = 出っ歯と思われがちですが、これは半分正解で半分誤解です。
確かに、
- 上顎前歯が前に出て見える
- 口元が突出して見える
といった見た目になることは多い。
しかし本質は、下顎が後ろにあることで、相対的に前歯が出て見えるという骨格の問題です。
Skeletal Class II でよく見られる特徴
① 横顔での下顎の後退感
- あごが小さく見える
- フェイスラインがぼやける
- 首との境目が曖昧になる
👉 美容的な主訴で来院される方も多いポイント

治療前

治療後


| 主訴 | 右下の歯並びが気になる右下8抜いてから歯並びが悪くなった |
|---|---|
| 診断名あるいは主な症状 | Angleclass1 skeletal 2 |
| 年齢 | 26歳 |
| 治療に用いた装置 | インビザライン |
| 抜歯部位 | 非抜歯 |
| 治療期間 | 2年10カ月 |
| 治療費概算 | 950,400円 |
| リスク・副作用 | むし歯、痛み、歯根吸収、後戻り、口内炎、発音障害 |
② 噛み合わせの問題(Ⅱ級咬合)
- 上の歯が前に被さりすぎる
- 奥歯の噛み合わせがズレる
Angle分類では Class II を伴うことが多いですが、必ずしも一致するわけではありません。

治療前

治療後


| 主訴 | 前歯が出ているのが気になる |
|---|---|
| 診断名あるいは主な症状 | Angleckass1 skeletal2 |
| 年齢 | 1期10歳 2期15歳 |
| 治療に用いた装置 | バイオネーター ラビアル シルバー |
| 抜歯部位 | 14・24・34・44 |
| 治療期間 | 1期1年9カ月 2期2年9カ月 |
| 治療費概算 | 73万 |
| リスク・副作用 | むし歯、痛み、歯根吸収、後戻り、口内炎、発音障害 |
③ 口唇閉鎖不全・口呼吸
- 唇が自然に閉じにくい
- 口呼吸になりやすい
👉 機能面の問題につながることもあります。

治療前

治療後


| 主訴 | 歯がデコボコする噛み合わせが悪い |
|---|---|
| 診断名あるいは主な症状 | Angleclass2 Skeletal2 |
| 年齢 | 14歳 |
| 治療に用いた装置 | ラビアル クリアブラケット |
| 抜歯部位 | 14・24・35・45 |
| 治療期間 | 2年4ヶ月 |
| 治療費概算 | 642,400円 |
| リスク・副作用 | むし歯、痛み、歯根吸収、後戻り、口内炎、発音障害 |
Skeletal Class II の治療が難しい理由
Skeletal Class IIは、治療方針の判断が非常に重要です。
✔ 成長期かどうか
- 成長期:顎の成長誘導が可能なケースあり
- 成人:骨格自体は基本的に動かない
✔ 歯だけでカバーするのか
- 抜歯で前歯を下げる
- 歯の傾斜で見た目を調整する
✔ 外科矯正が必要かどうか
- 骨格ズレが大きい場合
- 見た目・機能改善を重視する場合
👉 「どこまでを歯で補正するか」が、最大の判断ポイントです。
Skeletal Class II × マウスピース矯正の注意点
近年特に増えているのが、この組み合わせです。
- 下顎の後退は改善できない
- 前歯を無理に下げるだけになる
- 口元が下がらず、違和感が残る
👉
骨格的問題を、装置だけで解決しようとすること自体が無理というケースも少なくありません。
Skeletal Class I との違い(整理)
| 分類 | 骨格の前後関係 | 治療の考え方 |
|---|---|---|
| Skeletal Class I | バランス良好 | 歯列中心の調整 |
| Skeletal Class II | 下顎後退傾向 | 設計・補正範囲の見極めが重要 |
まとめ(患者さんに知ってほしいこと)
- Skeletal Class IIは、骨格バランスの問題
- 「出っ歯」だけの話ではない
- 治療のゴールは歯並び+噛み合わせ+横顔バランス
「歯を並べたのに、口元が気になる」
「矯正したけど横顔が変わらない」
こうした悩みの背景には、Skeletal Class II の見落としがあることも少なくありません。
監修歯科医師

日本矯正歯科学会 認定医
渡邉 司理(ワタナベ モトリ)
専門
歯科矯正
卒業大学
鶴見大学歯科学部卒業/日本大学歯学部大学院歯学博士
資格
歯学博士/日本矯正歯科学会認定医
所属
日本矯正歯科学会/東京矯正歯科学会/日本大学歯学部附属病院歯科矯正在籍/(医)CosmeDentalConcept理事
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