2026/02/02

Skeletal Class III(骨格性クラスⅢ)とは

Skeletal Class III の基本定義

Skeletal Class III とは、上顎と下顎の前後的位置関係において、下顎が相対的に前方に位置している状態
もしくは上顎の成長が相対的に不足している状態を指します。

ポイントは、「下顎が出ている」だけがClass IIIではないという点です。


セファログラムでの評価

頭部X線規格写真(セファログラム)では、以下のような所見が見られます。

  • 下顎が前方に位置している
  • あるいは、上顎が後方に位置している
  • その結果、上下顎の前後バランスが前方寄りになる

✔ 顔面骨格の前後バランスが崩れている
✔ 横顔で下顎が強調されやすい

これらが Skeletal Class III の基本的特徴です。


Skeletal Class III=「受け口」?

一般には、Skeletal Class III = 受け口と理解されがちですが、これも完全一致ではありません

  • 歯の噛み合わせは反対咬合でも骨格的には軽度なケース
  • 見た目は反対咬合でも実際は歯の傾斜でカバーされているケース

など、歯性Class IIIと骨格性Class IIIは別物です。


Skeletal Class III でよく見られる特徴

① 反対咬合(受け口)

  • 下の前歯が上の前歯より前にある
  • 前歯で噛み切りにくい

👉 機能面の問題が出やすいタイプ

Skeletal Class III

治療前

Skeletal Class III

治療後

Skeletal Class III

Skeletal Class III

主訴嚙み合わせが気になる前歯が中に入っている
診断名あるいは主な症状Angleclass3
Skeletal3
年齢38歳
治療に用いた装置ラビアル
スーパークリア
抜歯部位34・44
治療期間3年6カ月
治療費概算829,500円
リスク・副作用むし歯、痛み、歯根吸収、後戻り、口内炎、発音障害

② 横顔のバランスの崩れ

  • 下顎が強く出て見える
  • 中顔面(鼻〜上唇)が引っ込んで見える

👉 審美的な悩みとして来院されることも多い


③ 発音・咀嚼への影響

  • サ行・タ行が発音しづらい
  • 噛み合わせが安定しない

👉 見た目だけでなく、機能的問題につながることもあります。


Skeletal Class III の治療が難しい理由

Skeletal Class IIIは、治療の選択肢と限界の見極めが最も重要な分類です。

✔ 成長期か成人か

  • 成長期:上顎成長促進・下顎成長抑制が可能な場合あり
  • 成人:骨格そのものは基本的に変えられない

✔ 歯でどこまで補正するか

  • 歯の傾斜で噛み合わせを作る
  • 見た目をどこまで許容するか

✔ 外科矯正の適応

  • 骨格ズレが大きい
  • 審美・機能改善を強く求める

👉 外科矯正の適応判断が最も重要になる分類です。


Skeletal Class III × マウスピース矯正の注意点

ここも、近年トラブルが増えているポイントです。

  • 骨格的前後差は改善できない
  • 歯を無理に傾斜させるだけになる
  • 治療後の後戻りリスクが高い

👉「歯だけで何とかしようとすると、限界が出やすい」のがSkeletal Class IIIの特徴です。


Skeletal I・II・III の整理

分類骨格の前後関係主な特徴
Skeletal Iバランス良好歯列中心の調整
Skeletal II下顎後退口元突出・下顎小
Skeletal III下顎前突/上顎劣成長受け口・下顎強調

まとめ(本当に伝えたいこと)

  • Skeletal Class IIIは、骨格バランスの問題
  • 「受け口=簡単に治る」ではない
  • 治療のゴールは噛める・話せる・見た目のバランス

「歯は並んだけど、顔の印象が変わらない」
「治療後に違和感が残る」

その背景に、Skeletal Class III の診断と限界設定のズレがあることも少なくありません。


監修歯科医師

日本矯正歯科学会 認定医

渡邉 司理(ワタナベ モトリ)

専門
歯科矯正

卒業大学
鶴見大学歯科学部卒業/日本大学歯学部大学院歯学博士

資格
歯学博士/日本矯正歯科学会認定医

所属
日本矯正歯科学会/東京矯正歯科学会/日本大学歯学部附属病院歯科矯正在籍/(医)CosmeDentalConcept理事

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