2026/02/09

矯正治療って保険適応じゃない?

「矯正治療って保険がきくんじゃないの?」初診相談で、かなり高い頻度で聞かれる質問です。

結論から言うと、矯正治療は原則として保険適応外(自費診療)です。ただし、例外的に保険が使えるケースも存在します。

ここでは、その違いを分かりやすく解説します。


1.矯正治療は保険適応外です

一般的な歯列矯正(歯並びを整える治療)は、
健康保険の適応外=自由診療です。

  • ワイヤー矯正
  • マウスピース矯正(インビザラインなど)
  • 表側矯正・裏側矯正
  • 部分矯正

これらはすべて、保険は使えません

そのため、治療費は医院ごとに設定されており、
費用に幅があるのが特徴です。


2.保険が適応となるレアケースは?

ごく一部ですが、保険が適応される矯正治療も存在します。

代表的なのは、次のようなケースです。

✔ 保険適応になる主な条件

  • 顎変形症と診断され、外科手術(顎の骨を切る手術)を伴う矯正治療
  • 先天性疾患(口唇口蓋裂など)に伴う咬合異常
  • 国が定めた特定の疾患リストに該当する場合

さらに、

  • 指定された医療機関
  • 指定された矯正歯科医

で治療を受ける必要があります。

👉 「見た目を整えるための矯正」では、原則として保険は使えません。


3.なぜ、矯正治療は基本的に保険適応外なのか?

理由は大きく3つあります。

① 生命に直接関わる治療ではない

矯正治療は、

  • 噛み合わせの改善
  • 見た目の改善

といった生活の質(QOL)を高める治療と位置づけられています。

そのため、虫歯や歯周病のような
「放置すると健康被害が出る治療」とは区別されています。

② 治療期間・方法に個人差が大きい

  • 治療期間が1~3年以上と長い
  • 装置や治療計画が症例ごとに大きく異なる

このため、全国一律の保険点数を設定しにくい、という事情があります。

③ 技術・設計の自由度が高い

矯正治療は、
医師の診断力・設計力・経験が結果に直結する治療です。

保険診療の枠に当てはめると、
治療の質が制限されてしまう側面もあります。


4.医療費控除の対象にはなるのか?

はい、条件を満たせば医療費控除の対象になります。

✔ 医療費控除の対象になる例

  • 噛み合わせの改善が目的
  • 発音・咀嚼機能の改善が目的
  • 子どもの成長発育のために必要と判断された矯正

✖ 対象になりにくい例

  • 明らかに審美目的のみの矯正
  • ホワイトニングのみ

※判断に迷う場合でも、
多くの成人矯正は医療費控除の対象になるケースが多いのが実情です。


5.高額医療費制度の対象にはなるのか?

これは対象になりません。

高額医療費制度は、

  • 健康保険が適応される治療
    が前提です。

矯正治療は自由診療のため、
どれだけ高額でも高額医療費制度は使えません。


6.生活保護の場合はどうなるのか?

生活保護を受給している場合でも、
原則として矯正治療は受けられません。

理由は、

  • 生命維持に直結しない
  • 医療扶助の対象外

とされているためです。

ただし、

  • 顎変形症
  • 重度の機能障害を伴うケース

など、医師・行政が「治療が必要」と判断した場合には、
例外的に認められることがあります。


まとめ

  • 矯正治療は原則として保険適応外
  • 保険が使えるのは、顎変形症などのごく限られたケースのみ
  • 医療費控除は条件付きで対象になる
  • 高額医療費制度は対象外
  • 生活保護でも、基本的には対象外

「保険がきく・きかない」で迷ったら、
自分の症例がどこに当てはまるのかを、専門医に直接確認することが一番確実です。

監修歯科医師

日本矯正歯科学会 認定医

渡邉 司理(ワタナベ モトリ)

専門
歯科矯正

卒業大学
鶴見大学歯科学部卒業/日本大学歯学部大学院歯学博士

資格
歯学博士/日本矯正歯科学会認定医

所属
日本矯正歯科学会/東京矯正歯科学会/日本大学歯学部附属病院歯科矯正在籍/(医)CosmeDentalConcept理事

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